とりま今すぐお風呂に入りたくなるはなしをする

とりま今すぐお風呂に入りたくなるはなしをする

入浴シーンでの交わりの絵はけっこう見かける。

 

江戸時代についてよく知らない方でも江戸時代の銭湯は混浴だったと聞いたことがある方も

いるだろう。

 

杉浦日向子氏の「一日江戸人」中江克己氏の「江戸の性」によると、当時の銭湯は全国的に

混浴で、寛政三年(1791年)に松平定信がこれを禁じ、男湯と女湯に分けられた。

その時男湯の二階から女湯の洗い場が覗ける格子窓を備え付けた銭湯が流行したそうだ(嫌すぎる)。

その後混浴が復活してしまい、再び取り締まりと混浴復活を繰り返した。

 

その後、明治1年に横浜で薬湯の男女混浴が禁止され、大阪府でも男女の混浴が禁止された。

東京で混浴が禁止されたのは明治3年のことだった。

 

とりわけ江戸は湿潤な気候なうえに砂埃がものすごく、すぐに体中砂だらけのベタベタで

沐浴なしでは生活できないような風土だったようだ。

 

今銭湯のはなしを長々として「銭湯おすすめ!」とわたしが言ったところで

「今じゃないでしょ!」の声が聞こえてきそうだ。

現在外出の自粛のために、おうちで過ごす時間がかなり増えたからだ。

 

読者様含めてご家族の方々もおうちで気分転換するために普段作らない料理に挑戦したり、掃除を

したり、ゲームをしたり、人によって様々な過ごし方があると思う。

 

しかし家にずっといると自然に触れる機会も少なく、季節の変化に気づきにくくなる。

家族とずっとずっと一緒にいると、つい遠慮がなくなりケンカにもなると思う。

なので今日は「おうちでできて」「季節も楽しめて」そのうえ「家族で楽しめる」時間の提案を

ひとつしてみたい。

 

それは「お風呂」に入ることだ。

 

おうちタイムが増えるなら今の季節『菖蒲湯』はいかが?

 

 

みなさんは「菖蒲湯(しょうぶゆ)」をご存知だろうか。

端午の節句、つまり子どもの日に菖蒲(しょうぶ)と呼ばれる植物の根や葉を風呂に入れるのだ。

端午の節句とは月の最初の午の日という意味だったが、陰暦では5月が午の月であったことから

五(午)の端牛(五)の日、すなわち5月5日を節句とした。

はい、難しいので覚えなくて大丈夫。

わたしもちゃんと理解していないから。

 

陰暦で端午の日は春から夏の変わり目で体調を崩しやすいため、中国で古来より

病邪を払う考えられていた菖蒲を用いた習俗が日本でも広まったようだ。

 

端午の節句は鎌倉時代頃より男の子の成長を祝う日になり、江戸時代になると兜や五月人形で

男の子を祝う行事となった。

当時は武家社会だったため、「勝負」「尚武」などの言葉と菖蒲(しょうぶ)をかけていたようだ。

 

男の子の成長を祝う端午の節句の行事とて、もとは病邪を払って健康や長寿を祝うために

菖蒲が使われたのだから、性別も年齢も関係なくみんなで楽しみたい。

なおさら今の時期の心持ちとしても菖蒲湯は良いのではなかろうか。

 

ちなみに菖蒲はオンラインで4月から5月頃の期間限定の販売で乾燥させたものの取り扱いや、

菖蒲の入浴剤も販売されているようだ。

今年に限り流通に変化がある可能性もあるので、菖蒲湯をおうちでトライしたい方

是非オンラインショップで探してみて欲しい。

 

菖蒲湯にまつわる春画

 

 

上の絵の磯田湖龍斎《十二季の栄花(じゅうにきのえいが)》睦月(陰暦で5月)の春画で、菖蒲湯での

交わりとなっている。

湯に浮かぶ細長い緑色の葉が菖蒲だ。

女性は後ろから抱きついている男性に「馬鹿らしいとは、お情けない」と呆れ気味のようだ。



 

こちらも楽しい菖蒲湯の行事の場面。

絵は歌川国芳《華古与見(はなごよみ)》より。

 

端午の節句だから銭湯で菖蒲湯が焚かれたようだ。

自分が服を着るよりも、我が子に丁寧に着物を着せる母親と、その後ろで菖蒲を頭に巻いているのは

お兄ちゃんでしょうか。

お兄ちゃんが取ろうとしているのは「おひねり」。

銭湯では元旦や五節句などの特別な日、つまり紋日には浴客に茶をふるまい、客はその礼に

十二文ほどのおひねりを銭湯に渡したそうだ。

 

ちなみに右側の口に手ぬぐいをくわえている女性の右の二の腕に何か書かれている。

これは彼女が惚れている相手の名前だろう。

彼女たちの止まらない楽しい会話の声や、男の子の元気な声が今にも聞こえてきそうな場面だ。

 

ねこの鼻みたいに冷たいおしりはダメ!お風呂は冷え防止にも

 

 

渓斎英泉の書いた性のハウツー本《閨中紀聞/枕文庫》に女性の身体の冷えを改善するためには

お湯に浸かるようにと勧める内容がある。

女性は身体が冷えやすいため、厚着をしても腰は冷えるし

一年中おしりはネコの鼻のように冷たくなることが書いてある。

昔は現代のように女性はショーツを履かず、湯文字と呼ばれる肌着を巻くだけのため、なおさら

下半身が冷えたのだろう。

 

そして長時間こたつに入ると女性の下半身が乾燥してしまい、誰かと営みを行うときには

性器はすっかりカラカラに乾いているため心地よくないとも書いている。

そのため冷え取り対策や性の営み対策として湯に浸かることを推奨している。

 

実際、今が5月の温暖な気候だとしても(今これを書いているのは4月半ば)腰回りやおしりが

冷たくなっている読者様も多いのではないだろうか。

お部屋でじっとしているとなおさら寒さを感じるし、エアコンで室内は乾燥する。

やっぱりここは、おうちのお風呂でゆっくり身体を癒して少し汗をかいてみてはいかがだろうか。

もし菖蒲の葉が手に入らなかったとしても、お気に入りの入浴剤で昼間からお風呂に入ったりして

特別な気分を味わってみても楽しそうだ。

 

いかがでしたでしょうか。

今回は自宅で楽しめる季節の行事とともに春画をご紹介してみました。

しかしながら、まだまだ思うように行動できずナーバスになる日もありますね。

こころと身体の健康に気を付けて、引き続き気持ち穏やかに過ごしていきましょうね。

 

 


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カンレン

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