床上浸水する家の話

床上浸水する家の話

これは『挨拶をしてくれない先輩の話』で紹介した山城さんの弟・

将生さんの体験である。

 

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将生さんは大学時代、滋賀県大津市の真野という地域に住んでいた。

山城さんは将生さんと頻繁に連絡は取っていなかったのだが、ある日将生さんから

このような声がかかったという。

 

「俺、取り憑かれてるかもしれへん」

 

「ええ?」

 

話の内容はこうだ。将生さんの住んでいる家がよく床上浸水をするという。

 

「床上浸水?雨の日とか?」

 

山城さんが尋ねると、将生さんはこう話す。

 

「それがちゃうんよ……時間帯や天気は関係ない。晴れててもなるから気味悪いねん」

 

将生さんいわく、日常的に、フローリングに水を撒いたように

ポコポコと水滴が浮いてくるのだという。

台所で水をぶちまけたのかな?という感じだそうだ。

ただし、拭いても拭いても変わりはない。

 

「それにな、床上浸水だけやのうて、家におると人の気配がすんねん」

 

将生さんの家は古いマンションで、四階建ての一階だった。

1LDKで、クッションフロアを引いた洋室六畳。

その六畳のうち一番窓側にあたる四分の一の部分だけ、床の質が違っていた。

一番奥の部分だけが大理石になっているのだ。

そして、突き出した出窓部分の天井が斜めになっていて、

小さいガラスがはまった天窓になっていた。

一見すればおしゃれな部屋である。

 

家賃は予算をオーバーするかと思ったが、そんなに高くもなく、無事に父親の許可を得て

将生さんはそこに住むこととなった。

 

将生さんは元々部屋が散らかっていたこともあり、しばらくの間は浸水に気付かなかったという。

しかし一度気付いてからは次第に気になるようになったのだそうだ。

 

友人が遊びに来たときはこんなことがあった。

 

友人が「将生以外の人絶対住んどるよね」と言う。

すると呼応するように床上浸水がはじまったのだ。

 

(何やねん、気味悪い……)

 

また別の時には、充電器のコンセントを抜かれたこともあった。

将生さんはコードを引っ張っておらず、誰かが歩いて引っ張らないと抜けないような感じで

いきなり抜けるのだそうだ。

 

「ここ、事故物件やないんですか」

 

将生さんが不動産の人を問い詰めても、「事故があったことはないです」と、

思うような答えは得られないままだった。

 

(でも、水のところに集まりやすいっちゅうし……)

 

そう思った将生さんは、仏教系の学校に通うお寺関係の友人を招いて見てもらうことにしたそうだ。

 

友人の答えはこうだった。

 

「申し訳ないけど、ここにおる。害は無いけど、将生があまりにも人に関心がのうて、

気付いて欲しくてアプローチしとる」

 

(そないなこと言われたってなぁ……)

 

こういった経験から将生さんは父親と共に、不動産業者を問い詰めた。

 

「欠陥住宅とちゃうんか」

 

「そのようなことはないはずです……浸水は対応させていただきますので」

 

工事の業者が将生さんの家にやって来た時にも同じように問い詰めると、

このような話を聞くことが出来た。

 

「これ、不動産の方が喋っとるかどうかわからへんのですけど……

実はここの下、昔、井戸やったんやんなぁ」

 

業者いわく、あの四分の一の床の下に当たる部分に、かつて井戸があったそうだ。

通常井戸は埋めてから家を建てるのだが、ちゃんとした工程を踏まずに家を建てたので、

構造的にも“事故”物件だったのだ。

 

不動産にこの話をしたところ、

 

「他の部屋に移動しますか」

 

と問われたので、将生さんは二階や三階の部屋を見に行って驚いた。

 

(なんやこの部屋……!?俺の部屋だけやん、綺麗なの)

 

将生さんの住んでいる部屋以外は、

築五十年はあるのではないかと言うほどに汚かったのだという。

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「俺の部屋だけ綺麗やったから、やっぱりなんか隠したかったんかいな」

 

将生さんはそう話していたそうだ。

 

 

ここまでお読みいただきましてありがとうございました。

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志月かなででした。

 

 


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