犬の不思議な話

犬の不思議な話

これはSさんという男性の体験談である。

 

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Sさんはラブラドールが混ざったような雑種犬二匹と一緒に暮らしていた。

雌犬の風子と雄犬の鈴。

元々、鈴のお母さんである風子がSさん宅におり、兄弟は里親に貰われていき、

風子と鈴がSさんの家に残ったのだった。

鈴は当時一歳半で、好奇心旺盛で元気な子だったという。

 

2016年の9月のことだ。

当時、Sさんの妻は入院しており、二匹の散歩は帰宅したSさんの役目となっていた。

20時頃に職場を出たSさんは、21時頃に帰宅すると早速二匹を連れて外に出た。

車に乗せて近所の公園まで行き、いつもそこで散歩をしていたそうだ。

 

(あれ……?)

 

一戸建ての駐車場には自家用車の白い軽バンが停まっているのだが、その助手席に

見たことのない茶色の雑種犬が座っているのが一瞬だけ見えたという。

 

(犬……?)

 

Sさんが目を擦ると、その犬は見えなくなっていた。

 

Sさんは人の幽霊を見ることは日常茶飯事だったものの、

犬の霊を見ることはこれまでになかったため少しだけ気にかかったそうだ。

 

(世の中には犬の幽霊もいるんだなあ……)

 

Sさんはいつものように風子と鈴を乗せて、車で十分ほどの散歩コースへ出かけた。

そこで四十分ほど散歩をし、家に戻ったという。

 

それから二日後のことだ。Sさんはまず、妻の入院している病院に寄った。

すると妻は入院先で志村動物園の再放送を見ており、

丁度保護犬の話が放送されているところだった。

保護犬の引き取り手を探しており、誰かに引き取られないと、また保護施設に戻されるという

内容だったという。

 

その時、妻が「死ぬよりはいい」と言ったそうだ。

 

Sさんはその流れの中で、先日見た犬の幽霊の話をした。

すると妻がSさんを見てこういった。

 

「それってもしかして私が前に飼っとった犬じゃないか?」

 

妻が一人暮らしのときに、柴犬よりもう一回りほど大きい子と暮らしていたのを、

Sさんも知っていた。

 

「ああ、似ちょるけど色はちょっとちがうかなと思った」

 

そんな話をした後、Sさんはまた、鈴と風子の二匹をいつもの散歩コースに連れて行った。

ゆっくり散歩を楽しんで、自宅に戻る。

その時だった。

 

いつものように玄関の庭に下したところ、鈴が道路に飛び出してしまったのだ。

 

「あっ!」

 

たまたま猫がおり、好奇心旺盛な鈴はそれにつられて猫を追いかけて行ってしまったのだった。

 

「鈴!待ちなさい!」

 

Sさんは慌てて追いかけた。

すると、猫を追いかけて行った鈴がこちらを振り返った。

そして、道路を渡ってSさんの方に来ようとした。

 

その時だった。

 

車道を走ってきたトラックに跳ねられて、鈴は亡くなってしまったのだ。

 

妻は鈴を大変可愛がっていたので、その子が亡くなった時にペットロスに陥ったという。

遺体はなかなか火葬に出す踏ん切りがつかず、家にずっと置いておいたそうだ。

 

(鈴……、本当に、かわいそうなことをしたな……)

 

Sさんもあの時のことを忘れられなかったという。

 

鈴が亡くなった日から十日後のことだ。

Sさんが晩に帰宅したところ、誰もいないはずの家に灯りがついていた。

 

(あれ……電気つけっぱなしだったかな?)

 

その時にSさんは、先日見た茶色い犬の霊を、もう一度目にしたという。

後で妻に話をしたところ、やはり、妻が昔飼っていた犬とそっくりだということが分かった。

 

(もしかしたら、うちの鈴を迎えに来てくれたのかもなあ)

 

世話になった魂が、迎えにくる。

もしかしたら、動物同士も、飼い主を通した暖かい縁で繋がっているのかもしれない。

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志月かなででした。

 

 


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カンレン

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