友人にまつわる不思議な話1

友人にまつわる不思議な話1

これは現在四十代の男性、吉本さんが高校時代に体験した話だ。

 

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中学時代、吉本さんは男子バレーボール部に入っていたのだが、このチームは大変仲が良かった。

吉本さんやチームメイトは卒業後もバレーボール部の顧問である後藤先生に会いたい気持ちがあり、

後輩の練習相手も兼ねて、卒業後もよく部活を訪れていた。

バレーボール部が体育館を使える日は水曜日だった。

 

後藤先生はいつも練習後に「お前ら、お茶飲んでけよ」と吉本さんたちOBに

気安く声をかけてくれた。

職員室で一緒にお菓子を食べるのが吉本さんや友人の水曜日の楽しみであったという。

 

十一月に入ってすぐのことだ。いつものように水曜日に吉本さんや友人が中学校を訪れると、

部活の後に後藤先生からの誘いがかからなかった。

 

「用事があるから、ちょっと今日は帰ってくれな」

 

これまでにそういったことは一度もなかったので、吉本さんやOBは不思議に思ったという。

 

(期末テストの時期とも外れているし、それに……)

 

後藤先生の顔つきがどことなく深刻そうに見えたのが気にかかった。

 

吉本さんは不思議に思いながらも、友人らと校門前で別れ、中学校から歩いて五分の場所にある

一戸建ての自宅に戻った。

 

「ただいまー」

 

吉本さんが靴を脱いで居間へ向かうと、テレビがついていた。

母親が食事の支度をして行き来しながら見ていたようだ。

当時、六時からフジテレビで放送されていたFNNスーパータイムというニュースが

ちょうど始まったところだった。

逸見政孝アナウンサーと幸田シャーミンアナウンサーが並んで画面に映っている。

そして、逸見アナウンサーがニュースを読み上げた瞬間、吉本さんは小さく息を飲んだ。

 

“高校生男子 遺書のこし飛び降り自殺”

 

テロップの内容と共に、画面には大きく見覚えのある写真が映し出されていた。

吉本さんの中学校の、卒業アルバムの写真だった。

吉本さんが卒業してからまだ八ヶ月しか経っておらず、その写真は記憶に新しかった。

 

(嘘だろ、なんでうちの中学の写真が……)

 

写真にはモザイクが掛かっていたが、見間違えるわけはなかった。

先ほどまでいた吉本さんの母校、その校門を入ってすぐのところで撮られている写真だ。

三列に並んだ生徒が、八ヶ月前まで自らも袖を通していたブレザーの学生服を纏っている。

これから食事だという段階だったので、その時には母親もテレビを見ていた。

 

「あんた、これ……」

 

周りの声が遠くなるような感覚があり、ドッドッと鼓動が早鐘をうつのがわかる。

吉本さんは咄嗟に立ち上がり、廊下にあった電話で

先ほどまで一緒にいた友人宅の番号を押していた。

数コール後に友人が出る。

 

「お前、テレビ見ろ?!フジテレビ!!」

「はあ?」

 

吉本さんのあまりの勢いに、友人はなんのことだと訝し気だったが、

リモコンでテレビをつけたのだろう。

次の瞬間には、事態を把握したようだった。

 

「マジかよ……」

「学校戻ろうぜ!」

 

吉本さんは友人と中学校の前で待ち合わせをして、すぐに二階の職員室に駆け込んだ。

職員室の電気はついていたが、教諭はみな出払っていて、

学校の行事や連絡事項が書き込まれる大きな黒板に

「卒業生S君、死亡と連絡あり」

と書いてあった。

Sとは、吉本さんが二年の時に同じクラスで仲良くしていた友人の名前だった。

佐伯さん(Sさん)と吉本さんは小学校からの友人で、佐伯さんは小学校時代からサッカーをしていた。

中学でもサッカー部に入りフォワードをつとめ、おとなしいけどサッカーがうまい男の子だった。

 

しばらくして、吉本さんたちの卒業を見守ったクラスの担任である相田先生がやってきた。

 

「先生……」

 

吉本さんは黒板を指で示して、かつての担任を見やる。

否定して欲しいような、これが真実だと認めて欲しいような、不思議な心地だった。

 

「実は、そうなんだ……」

 

吉本さんはショックのあまり放心状態になってしまったという。

その場にいた友人も、静かに動揺していた。

 

(なんでだよ……)

 

その日はそのままとりとめもなく話をして、家に帰ったという。

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吉本さんは小学校一年生のときに父親を亡くしている。

そのため、同世代の友人よりは「死」に対する耐性があったと語る。

その後の人生で友人や誰かの自殺現場などに遭遇する機会もあった。

人より死に目を経験して、その先も経験していくが、当時は同世代の友人が

自ら命を絶ったという事実が、ただ、ショックだった。

そしてこの時のショック経験がなければ、この後のことも起こっていないだろうと語ってくれた。

 

(『友人にまつわる不思議な話2』に続く)

 

 

ここまでお読みいただきましてありがとうございました。

吉本さんがこれからどんな怪異を体験したのかは、続きをお読みいただけましたら幸いです。

 

また、実話怪談があるよ!記事にしても良いよ!という方は、

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その際箇条書きで構いませんので怪異体験のことを簡単に記してありますと大変助かります。

(何年前・どこで・こんなことがあった、など)

 

志月かなででした。

 

 


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カンレン

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