精神病棟のこわいはなし

精神病棟のこわいはなし

これは看護師をしている齊藤さんの体験談だ。

 

齊藤さんは長く精神病棟での看護をしており、今いる病棟は二階建てである。

 

齊藤さんは今の病院に来てからはあまり霊そのものを見ることはないと話す。

昔の病院には畳の部屋があり、今ほど薬も発達していなかったため、

幻覚や幻聴がひどい人はしきりにこう言っていたという。

「畳の目から虫が這い出てくる」

「壁から何かが出てくる」

 

中には

「畳の目からお金が見える」

と言い、一日中畳をひっかいて手を血だらけにする人もいたそうだ。

そういう人にはミトンのようなものを手に嵌めて防ぐのだという。

 

最近は薬も進化を遂げているので、どちらかというと自傷をする人の方が多いそうだ。

 

そんな齊藤さんは、今年のお彼岸入りの頃にこんな体験をしている。

 

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現在勤務している病院の二階には、自立できていない患者さんが入院している。

寝たきりではないが、トイレは自分で行けず、認知症も進んでしまっているため、

夜勤の際は看護師二人で対応する。

 

一階にはある程度自立して、意志の疎通が出来る患者さんが入っている。

こちらはトイレも自分で行けるため、基本的には看護師が一人で対応する。

 

この日、齊藤さんは一階の入院患者である十二人を担当していた。

一時間に一回見回りに行くため、夜勤中はゆっくりと仮眠をとることは出来ない。

そもそも、仮眠室らしい部屋も用意されていなかった。

そのため、少し横になりたいときはナースステーションの隅に置いてある

診察用のベッドに横になるそうだ。

二階から一階に布団をおろしてまで寝るということは滅多にしないという。

 

一階には紙パンツを交換するような患者さんもいないので、休憩も兼ねて

ベッドで少し足を伸ばそうかと、齊藤さんは奥のベッドへ向かった。

仰向けで寝ると腰が痛むので、横向きにごろりと転がった体勢をとった。

うつらうつらとしていると、ベッドの下からひっかく音がする。

 

カリ……カリ……

 

(変だな……)

 

診察用のベッドの下には、病棟で職員が休憩中に飲むための、二リットルのペットボトルが

6本入った段ボール箱がぎちりとしまってあった。

そもそも、こんな場所には患者さんは入っては来られない。

無人になるときしか鍵をかけることはないとはいえ、ナースステーションには鍵もかかるように

なっているのだ。

にもかかわらず、齊藤さんが横になってベッドにつけている耳の下からは、

カリカリとベッドを下からひっかくような音が続いている。

 

(うるさいくて寝てらんないわ)

 

齊藤さんがベッドから身を起こすと、音はぴたりとやんだ。

 

(一体なんなの?)

 

もう一度横になると、また、カリ……カリ……と音が続く。

 

隣りの部屋はリネン室になっているので、誰かがいるはずもない。

齊藤さんが寝ているのは一階なので、下の階からの音が響いているということもあり得なかった。

 

齊藤さんの眠るベッドを下からひっかいているのは、一体何者だったのだろう。

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ここまでお読みいただきましてありがとうございました。

引き続き記事を執筆して参りますので、お手すきの際にでもお読みいただけましたら幸いです。

 

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その際箇条書きで構いませんので怪異体験のことを簡単に記してありますと大変助かります。

(何年前・どこで・こんなことがあった、など)

 

志月かなででした。

 

 


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カンレン

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