
みなさんは、フリーランスという働き方を考えたことがありますか?
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会が発行したフリーランス白書2018によると、
日本には現在、1000 万人余りのフリーランス(副業・兼業を含む)がいる
と言われています。
これは国内労働力人口の約 6 分の 1 にあたる数です。
アメリカでは労働力人口のうち約35.8%が既にフリーランス化しており、
2027 年にはフリーランス人口が過半数になるという予測すら出ています。
今回はフリーランス化の波に乗り、
実際にフリーランスでニューヨークで活躍している
小林ゆいさんに
「フリーランスって実際どうなの?」
とお話を伺いました。
【プロフィール】
小林 ゆい (32)
1987年 愛知県岡崎市生まれ
ニューヨークを拠点に活動する所謂フリーランサー。
自身がデザインを手がけるウェディングアイテムのウェブストア、ペットのカスタムグッズストアを運営。
GMOが運営するハンドメイドマーケット「minne」では雑貨ジャンル人気作家ランキング1位(※2019年6月現在)
2018年12月にはアメリカでもオンライストアの運営や、フェスへの出店をスタート。
2019年9月27-29日 渋谷マルイにてにて期間限定ストア「DIYstorePBW PopUpStore」を開催予定
Twitter: https://twitter.com/yuimiichan
- 会社辞めてフリーランスになるってほんとにうまくいくの?
①まず、小林さんはフリーランスでお仕事をされているということですが…
フリーランスの定義はまだよく定まっておらず曖昧な部分が多いのですが…
私は特定の組織や会社と業務委託契約を仕事を請け負っているわけではなく
自分の好きなことを自分で勝手にしてお金を稼いでいるので、
フリーランスの中でもいわゆる「個人事業主」と呼ばれる部類に入るのかなと思います。
②小林ゆいさんについて教えてください。
(波乱万丈な人生等教えて頂きたいです)
波乱万丈というほど波乱万丈ではないと思いますが(笑)
中高一貫の私立の進学校に通っていましたが、
高校1年生の時に朝眠いのに電車に乗るのが嫌で高校を辞めました。
そのあと特に夢も希望もなく毎日ダラダラと過ごしていたのですが、eggやポップティーンなどの読者モデルをやっていた時に編集部の方の紹介でテレビに出演することになりました。
それがなぜか私が司会で、明石家さんまさんがゲストという謎の情報番組で…(笑)
その番組に携わったことがきっかけでテレビ番組を制作する人になりたいなーと思い大学へ行くことを決心しました。
AO入試で大学に合格し、そこからは結構真面目に勉強しました。
卒論も最優秀賞をいただいて、テレビを作る人になるという夢は叶わなかったのですが、ニコニコ動画を運営する株式会社ドワンゴへ新卒で入社することになりました。
③職歴について教えてください。
新卒でドワンゴに入社したあと、5年間で3回転職しました。
ドワンゴでは企画や運営、次のアパレル企業とその次に入った某大手IT企業では自社ウェブストアのプロモーション・マーケティングを行っていました。
SNSを使ったプロモーションなんかを担当していました。
ITの仕事自体はすごく自分に合っていると思うのですが同じことを同じ場所でやるのが苦手で…というか、
たぶん私は社会不適合者なんです(笑)
今までいたどの会社も良い会社だったとは思うのですが学生の時と変わらず朝起きて電車に乗って会社に行くのが苦痛だし、
そもそも人としゃべるのが億劫で会社に行くのが辛かった…(笑)
④今やってる仕事についておしえてください。
今は日本向けには
結婚式で使うアイテム(ウェルカムボードや席次表など)を取り扱うウェブストアと、
ペットの写真からオリジナルグッズを作成するウェブストア
を運営しています。
最近英語圏向けのオリジナルグッズの販売もはじめました。
すべての商品、私がデザインを手がけています。
日本にいる間は個人事業主として活動していましたが、ニューヨークに引っ越してからは法人化しました。
個人事業主になってから5年が経ちましたが今ではアシスタントが8名いて、いつの間にかしっかりビジネスになってしまいました。
今年の秋には渋谷のマルイにて期間限定ストアもオープン予定です。
自分でも気づかないうちに大きなビジネスになっていてまだ心が追いついていません。
⑤今の仕事をやろうと思ったのはどうしてですか?
主人が沖縄へ出向になったことがきっかけです。
最初は沖縄での転職や東京に戻った際のキャリアも考えて、アルバイトをしてみたりもしたのですが
全く性に合わなかった!
お客様のクレジットカードの控えをなくしてしまってバイトリーダーからものすごく怒られたときも、
「え?そんなに怒ることですか?弁償すればいいでしょ?」って言ってさらに怒らせたり…
何度も言いますが社会不適合者なんです。
店長にも履歴書見ながら「よくあなたはこんな大きな会社で今まで働いてこれたね」と言われて、
「こんな私でもあなたよりも年収貰ってましたよ」と言い返したり…
今思うと本当に何てクソみたいな人間なんだと思うのですが、どうしても人と働くことは自分には合わないんだと気づきました。
それで、
じゃあ一人でできることをしよう
好きなことだけをして生きていこう
と思い今の仕事をはじめました。
⑥不安とかはなかったですか?
最初はめちゃくちゃありました!
「働いていなかった間のブランクはあなたの経歴に傷がつく。いずれ東京に戻った時に転職できなくなるよ」と、友人や元上司からも言われていました。
でも、沖縄の人って本当に働かないんです(笑)
みんなのんびりしていてその日暮らし。毎日ご飯が食べられて、お酒が飲めればそれで幸せ。
東京でバリバリ働いている会社員に比べて豊かな暮らしではないかもしれないけれど
東京の人よりみんな心が豊かで幸せそうなんです。
そんな沖縄の人達を見ていて、
「経歴に傷がつく」ことよりも
無理して好きじゃないことをして暮らしていくほうがよっぽど「心に傷がつく」
と思いました。
私はうまくいくかはわからないけれど、好きなことをして生きていく道を選びました。
結果、主人の気まぐれにより沖縄から東京へ戻ることはなくニューヨークへ移住することになり、東京での経歴に傷がつくなんてことは無かったし
私が運営しているオンラインストアはどこにいても運営できる。
英語が喋れない私にニューヨークで働く場所はありませんが個人事業主として仕事をしていたおかげでニューヨークにいても不自由なく収入を得られるようになりました。
結果、まったく不安になることなんてなかったんですよね。
会社員を辞めた時はまさか自分がニューヨークで生活するなんて思わなかったし人生なんて本当にどうなるかわからないので先のことを心配する必要は全くないと思います。
⑦やりがいは何でしょうか?
つきなみではありますが、「お客様が喜んでくれた時」です。
これに限ります!
ペットグッズは、亡くなったペットの写真を用いて商品を作って欲しいという依頼がとっても多いです。
ペットとの思い出やその子の特徴などをメッセージで送ってくださる方も多く、感情移入してしまって泣きながら作ることもあります(笑)
商品が届いて喜びのレビューをしてくださると、
あー生きていてよかったなー社会不適合な私にもできることがあるんだなあ
と思います(笑)
人と会話するのが嫌で会社に行きたくないと言っていた私ですが、
ウェブ上でお客様とコミニュケーションを取るのが大好きなんです!
不思議ですねえ。
⑧嬉しかったことや、逆に辛かったことはありますか?
嬉しいことは最近こうして色々なメディアに私のことや私の商品のことを取り上げていただく機会が増えたことです。
私のことを世の中の人に知ってもらえることで、
「こんなやつでもできるんだ。自分もなにかにチャレンジしてみようかな。」
って誰かに思ってもらえたら嬉しいなあと思っています。
⑨小林さんが優秀だからできたんじゃないですか?
とんでもない!!!
何度も言いますが本当に私社会不適合者なんで…
私、週に3回しか家を出ないし家事も一切しないんですよ。
アメリカの洗濯機の使い方とか未だにわかんないし、毎日ジャンクフードばっか食べてる(笑)
世間的に見たらかなりのダメ人間だと思います。
でもそれでも好きなことをして成功しているかはわからないけど…収入もちゃんと得ていて、何より毎日が本当に楽しくて幸せ!
絶対人には得意なことや好きなことが1つはあると思うんです。
それを突き詰めていけば、結果的に幸せになれると思います。
⑩逆に辛かったことはなんですか?
ぶっちゃけ辛いことはない(笑)
強いて言えば、アシスタントが増えてきてうまくコミュニケーションが取れてなくて揉め事が起きた時ですかね。
そもそも人と関わりたくなくてこの仕事を始めたのに結局アシスタントが増えたおかげで人と関わらなければいけなくなってしまった。めんどくせ。
と最初は思っていたんですけど(笑)
じゃあ、嫌なら全員辞めてもらえばいいじゃんと思った時に、辞めてほしくない。この人達と働きたい!と直感で思ったんですね。
それで日本にいるスタッフと珍しく電話で話した時にみんなすごく私のことを信頼してくれていて私のことを助けようとしてくれていることがわかって、逆に
絶対この人達が辞めたいって言わないような職場にしよう!
と心に決めました。
⑪今後の目標や、夢などあったら教えてください。
目標も夢も無いです。
その時に好きなことやりたいことがやれればそれで十分です。
あ、強いて言えば
世界中の猫を幸せにしたい。
今も売上の一部をニューヨークのレスキュー団体へ寄付する活動は行っているのですが微々たるもの。
いずれ私が死ぬ時に多額の遺産を世界中の猫たちに寄付したいです。
うん。そうだ。そのために頑張って働きます(笑)
⑫最後にワンチャン読者の方へメッセージをお願いします!
この記事を見てくださっている方は、どんな方でしょうか?
学生さんですか?お仕事されてますか?主婦ですか?
今の人生に満足していますか?
私は、個人事業主になるまで人生に満足している人間なんていないと思っていました。
みんなイヤイヤ仕事をしたり人とコミュニケーションをとっていると思っていました。
でも、今は胸を張って言えます。
私は自分の人生に満足しています。
世間的にはきっと駄目な人間です。
それでも胸を張って言えます。
自分のことが大好きです。
そう思えたのは個人事業主になって自分の好きなことをしようと一歩踏み出したからです。
仕事だけじゃない、ほんの些細なことでも良いと思うんです。
いつも行きたくないけど仕方なく行っている付き合いの飲み会。
今日は「用事があるんで帰ります」と言ってみようとか。
本当に小さなことでもいいので、一歩踏み出してみてください。
きっと胸がすーっとするはずです!